口渇と舌苔と口臭について

多くのお問い合わせをいただいておりますが、

舌苔と口臭のご相談はお受けいたしかねます。

専門医や他の漢方薬局等へご相談くださいますようお願い申し上げます。


相談に来られる方が「口が乾く」とおっしゃられることが多いので

口の渇き+舌のコケとそれに伴う口臭について書いてみました

漢方相談では主訴(困っている症状)でなくても口渇と舌苔は確認します

 

水分を摂ることで血液のめぐりが良くなるからと”1日2リットル”なんてことをやっていると 

むくみ・めまい・胃内停水(お腹がポチャポチャ音がする)

など他の症状があらわれてしまう方もいます

苔がしっかりついている・歯型がある方は水分を取り過ぎているかもしれません

 

傷寒論を読んでいても「口の乾き」についての記述は多いです

 *下記参照

 

歯科で口臭や歯周病の原因のひとつに口渇や唾液不足がある言われているので

「口臭があるのではないだろうか?」と心配される方も多いです

 

ご相談に来られた方が皆さんされているブラッシングですが

漢方の考えではこれをせっせとやっても意味がありません

臭いは苔が発しているのではなく苔が出る体質が発しているからです

もちろんその体質は漢方薬で変えることができます

 

特に女性がこの悩みを抱えておられます

・陰血(潤いをあたえる成分)の減少がみられる

・男性と比較してお水の溜まりやすい体質

であるためです

 

口が渇いたり、嫌な感じ(粘る・変な味)がしたり

舌に赤いブツブツが出て痛みがあらわれたり ・・・

もちろん体質・状態を診て判断します

漢方薬というのはご自身で判断するのがとても難しいです

 

相談に来られた方は服薬をはじめて間もなく苔・口の乾きに変化を感じておられます

他の漢方薬局で薬をもらっていたという方も私の処方で短期間に改善されました

悩まれている方は一度ご相談にいらしてください

口渇

体に余分な熱がある場合にはそれを冷ますことで陰分の蒸発抑えます

 ・白虎湯(白虎加人参湯)

 ・清暑益気湯

 ・杏仁滑石湯    など

 

生理不順や更年期障害に伴い口の渇きを訴える方

 ・逍遥散(加味逍遥散)

 ・温経湯

 ・桂枝茯苓丸    など

 

口は乾くけど下痢をする・むくみがあるなどカラダの水分が偏在している方

 ・六君子湯

 ・真武湯

 ・五苓散

 ・茯苓甘草湯

 ・猪苓湯      など

 

お酒を飲んだ翌日の口の乾き

 ・茵蔯五苓散    など

 

上記の症状がなく、体を潤す作用のある陰分の不足があればそれを補う

 ・麦門冬湯

 ・生脈散

 ・味麦地黄丸

 ・瓊玉膏      など

舌苔

舌の苔はこれだけで病態を把握することはできません

 

常に確認しますがある病症がありそれの確認材料とすることが多いです

 

≪白い苔≫

 白い苔は水滞(水分代謝の不調)や冷えのことが多い

≪黄色い苔≫

 黄色い苔は熱(胃腸に溜まったもの)であることが多い

  油っこいもの・味の濃いもの・アルコールの多飲など

 

*これらの病態は他の症状と絡めて処方決定の判断材料としています

最近は舌苔が歯周病の原因と言われ一生懸命ブラッシングをされる方が多いです

しかし、舌苔や体質や飲食物から生じるものなので体内環境を整えなければ解消はされません

逆に言えば漢方薬で舌苔をきれいにすることが出来ます

 

多いのは白苔と黄苔ですが、他に緑・灰・黒色の方もおります

口臭

①強い口臭が発生しやすいのは舌苔が黄色い方です

 

味の濃いもの・脂っこいもの・アルコールの摂取が多い方は

胃腸に熱のこもった状態であると判断します

煮物がだんだんと香りが深くなるのと同じです

カラダに熱があると水分や食べたものが煮詰まって臭いを生じます

 

この方は汗・尿・便などの臭いも強い場合が多いです

 ・竜胆瀉肝湯

 ・芩連平胃散

 ・茵陳蒿湯    など

 

 

②黄色い苔はないけれど口や舌が乾いて口臭が生じる方

 上記の陰分の不足を補う処方を使います

 ・麦門冬湯

 ・生脈散

 ・味麦地黄丸

 ・瓊玉膏     など

 

 

③胃腸に水分が過剰にたまっている方(胃内停水)

 水分が長期に溜まっていると水飲→痰飲となって”濃いお水”に変化してきます

 濃いお水は臭いを発しやすいです *池や沼をイメージするとわかりやすいかもしれません

 ・苓桂朮甘湯

 ・六君子湯

 ・温胆湯     など


参考:傷寒論にある口の乾きに関する条文

 

6条「太陽病、発熱して渇し、悪寒せざるものは温病と為す」

40条「傷寒表解せず、心下に水気有り、干嘔して発熱して咳し、或は渇し、或は利し、或は噎し、或は小便利せず、少腹満し、或は喘のもの、小青竜湯之を主る」

41条「傷寒、心下に水気有り、咳して微かに喘し、発熱して渇せず。湯を服しおわりて渇するもの、此れ寒去り解せんと欲す   るなり。小青竜湯之を主る」

73条「傷寒汗出でて渇するもの、五苓散之を主る。渇せざるもの、茯苓甘草湯之を主る」

74条「中風にて発熱し、六七日解せずして煩し、表裏の証あり、渇して水を飲まんと欲すし、水入れば則ち吐するもの、名づけて水逆と曰う。五苓散之を主る」

96条「傷寒五六日、中風、往来寒熱し、胸脇苦満し、黙々として飲食を欲せず、心煩喜嘔し、或いは胸中煩して嘔せず、或は渇し、或は腹中痛み、或は脇下痞硬し、或は心下悸し、小便利せず、或は渇せず、身に微熱あり、或は咳するもの、小柴胡湯之を主る」

113条「形傷寒を作し、其の脈弦緊ならずして弱。弱なるものは必ず渇し、火を被るものは必ず譫語す。~」

137条「太陽病、重ねて汗を発してまた之を下し、大便せざること五六日、舌上燥いて渇し、日晡所に小しく潮熱あり、心下より少腹に至りて硬満して痛み、近づくべからざるもの、大陥胸湯之を主る」

147条「傷寒五六日、已に汗を発してまた之を下し、胸脇満し、微結し、小便利せず、渇して嘔せず、但だ頭汗出で、往来寒熱し心煩するもの、此れ未だ解せざるなり。柴胡桂枝乾姜湯之を主る」

156条「~;其の人渇して口燥いて煩し、小便利せざるもの、五苓散之を主る」

169条「傷寒大熱無く、口燥いて渇し、心煩し、背に微かに悪寒あるもの、白虎加人参湯之を主る」

170条「傷寒脈浮、発熱して汗なく、其の表解せざるもの、白虎湯を与うべからず。渇して水を飲まんと欲し、表証なきもの、白虎加人参湯之を主る」

202条「陽明病、口燥き、但だ水を漱がんと欲し、のむを欲せざるものは、此れ必ず衄す」

222条「若し、渇して水を飲まんと欲し、口乾き舌燥くものは、白虎加人参湯之を主る」

223条「若し脈浮に発熱して渇し水を飲まんと欲し、小便利せざるものは猪苓湯之を主る」

224条「陽明病、汗出でること多くして渇するものは、猪苓湯を与えるべからず。汗多きを以て胃中燥き、猪苓湯はまた其の証便を利するが故なり」

227条「脈浮、発熱し、口乾いて鼻燥き、能く食するものは即ち衄す」

236条「陽明病、発熱して汗出でるは、此れ熱越と為す。黄を発すること能わざるなり。但だ頭汗出で、身に汗なく、頸をそろえて還り、小便利せず、渇して水漿を引くもの、此れ瘀熱が裏にあると為し、身に必ず黄を発す。茵陳蒿湯之を主る」

244条「~。小便数のもの、大便必ず硬く、更衣せざること十日、苦しむ所なきなり。渇して水を飲まんと欲すれば、少々之を与え、但だ法を以て之を救え。渇する者は五苓散五苓散に宜し」

282条「少陰病、吐せんと欲するも吐さず、心煩し、但だ寝んと欲し、五六日に自利して渇するもの、少陰に属するなり、虚するが故に水を引き自ずから救う。~」

319条「少陰病、下痢して六七日、咳して嘔渇し、心煩し、眠るを得ざるもの、猪苓湯之を主る」

320条「少陰病、之を得て二三日、口燥いて咽乾くもの、急いで之を下せ、大承気湯に宜し」

321条「少陰病、清水を自利し、色純青、心下必ず痛み、口乾燥するものは、急いで之を下せ、大承気湯に宜し」

329条「厥陰病、渇して水を飲まんと欲するもの、少々之を与えれば癒ゆ」

360条「下痢して微熱ありて渇し脈弱のもの、今自ずから癒ゆ」

367条「下痢して脈数にして渇するもの、今自ずから癒ゆ;若し癒えざれば、必ず膿血を清す。熱有るを以ての故なり」