抑肝散と逍遙散

最近テレビ等で認知症に効果があると話題の抑肝散

 

抑肝散は高齢者だけでなく若い方のPMSや更年期を迎えた方にお出しすることもあります

そこで今回は女性の月経に伴う精神症状に汎用する逍遙散との比較をしてみたいと思います

 

まずは構成生薬から見てみましょう

 

抑肝散:当帰・柴胡・白朮・茯苓・甘草・川芎・釣藤鈎

逍遙散:当帰・柴胡・白朮・茯苓・甘草・芍薬・生姜・薄荷

 

ご覧のとおり非常によく似ているのがわかります

『婦人の要薬』と言われる当帰を主に、精神症状を落ち着かせる柴胡

当帰は脾(消化器)への負担のかかるお薬で白朮・茯苓・甘草が脾をサポートしています

 

ここで大切なのは女性は月経により血を消耗していること

抑肝散も逍遙散も血の消耗によって起こる精神症状に効果を期待しています

とくに逍遙散は芍薬も含まれており”当帰×芍薬”で血の回復を図っています

薄荷はご存じの通りあの香りが気持ちを落ち着かせます

抑肝散に含まれる川芎は血が流れるように働きます

 

血が不足すると、気の流れをコントロール出来ず「イライラ・憂うつ・猜疑心など」精神症状を現わします

この状態で飲むお薬が逍遙散

煎じるときのポイント「薄荷は最後にひと煮立ち」

薄荷は長く煎じると香りが飛んでしまいますからね…

原因である血を補いながら、気の流れをスムーズにさせています

 

 

ここまででは治まらず、気の流れの停滞が続くとそこに熱(火)が生じます

 イライラが顕著で他人にあたる・顔がほてる・目が赤い

この状態で用いるのが加味逍遥散(丹梔逍遙散)です

 

さらに火の上には風が起こり(キャンプファイヤーのイメージ)それが病証となって現れます

 めまい・耳鳴り・ふるえ・頭痛・眼瞼けいれん・口角けいれん・認知症の陽性症状(叩く・暴言・徘徊)

抑肝散に含まれる釣藤鈎というお薬はカラダの中に生じた風(内風)を鎮める働きがあるので

上記のような症状が現れたら逍遙散ではなく抑肝散をお出ししています

煎じるときのポイント「釣藤鈎は火を止める前の5-10分」

釣藤鈎は熱に弱いお薬なので初めから煎じてはいけません

 

認知症に限らずPMSや更年期障害のみられる方は抑肝散が適応となることも良くあります

芍薬が必要かor川芎が必要かもポイントになります

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出典

【抑肝散】保嬰撮要・巻一・肝臓 / 明、薛己

「抑肝散 治肝経虚熱発搐、或痰熱咬牙、或驚悸寒熱、或木乗土而嘔吐痰涎、腹脹少食、睡臥不安。

  軟柴胡 甘草 川芎 当帰 白朮 茯苓 釣藤鈎

 上水煎、子母同服。如蜜丸、名抑青丸。」

 

搐…抽搐(小児のひきつけ・痙攣) 咬牙…歯ぎしり

抑肝散は元来、小児のひきつけ・夜啼き・歯ぎしり・疳の虫のためにつくられた。

母親の精神不安の影響が大きいとされ、母親の精神が安定しなければ回復は望めないとされる。そのため子母同服となる。

抑肝散は別名「抑青丸」と言われるが、五行論で肝=青色から抑青とは肝陽化風を抑制する意味がある。

 

【逍遙散】和剤局方・巻九・治婦人諸疾

「治血虚労倦、五心煩熱、肢体疼痛、頭目昏重、心忪頬赤、口燥咽干、発熱盗汗、減食嗜臥、及血熱相搏、月水不調、臍腹脹痛、寒熱如瘧、又療室女血弱陰虚、営衛不和、痰嗽潮熱、肌体羸痩、漸成骨蒸。

  甘草 当帰 茯苓 芍薬 白朮 柴胡

 上為粗末、毎服二銭。水一大盞、焼生姜一块切破、薄荷少許、同煎至七分、去渣熱服、不拘時候。」

 

煎じるとき薄荷は必ず最期に入れます。ひと煮立ちで十分。香りがポイント♪

 

漢方の勉強をされている方でも「女性のストレス=逍遙散」と返答が来そうでコワイ…

それは”柴胡×芍薬”の薬対と婦人の要薬”当帰”が含まれるからだろう。

当然のことながら誰にでも効く漢方薬はないですよ。