神秘湯(浅田家方)

前回の蘇子降気湯との比較のため神秘湯を考察することにした

 

神秘湯(浅田家方)

 麻黄・杏仁・甘草・蘇葉・橘皮・厚朴・柴胡

 

蘇子降気湯は喘息に用いないとしたが神秘湯は気管支喘息の発作に用いる方剤である

現在用いられる浅田家方は三拗湯(麻黄・杏仁・甘草)を内方しているため

喘+水飲に対して効果を発揮するのだ

 

外台秘要の神秘湯は甘草を含まず甘草麻黄湯(金匱要略/水気病)の方意が無くなってしまう

利水効果が弱まり喘息に用いにくいだろう


<柴胡を入れた意図は気鬱か?>

出典は「久咳・奔喘・不得坐臥」である

坐臥できなければやはり精神的な苦痛が現われる

小柴胡湯・柴胡桂枝湯・柴葛解肌湯などの柴胡(=退熱)には黄芩との薬対

補中益気湯・乙字湯などの柴胡(=昇提)には升麻・黄耆との薬対

がそれぞれ必要となる

神秘湯には柴胡と薬対を成すものはなく単独で組み込まれている

上逆(喘咳)のあるものにあえて上昇させる働きのある柴胡を加味している

以上より、やはり哮喘発作のために生じる気鬱に対して疏肝解鬱を目的としているのだろうと思う


三拗湯の加味方

麻黄湯:麻黄・杏仁・甘草・桂枝

麻杏甘石湯:麻黄・杏仁・甘草・石膏 →五虎湯・五虎二陳湯

麻杏薏甘湯:麻黄・杏仁・甘草・薏苡仁

神秘湯:麻黄・杏仁・甘草・蘇葉・橘皮・厚朴・柴胡

華蓋散:麻黄・杏仁・甘草・茯苓・陳皮・桑白皮・生姜・蘇葉

出典

外台秘要

「備急に久咳奔喘し、坐臥するを得ず、ならびに喉裏に呀声し気絶ゆるを療するの方」

 麻黄・杏仁・蘇葉・橘皮・柴胡

 

勿誤薬室方函口訣・浅田宗伯

「此方は外台備急にて久咳奔喘坐臥し臥するを得ず、并びに喉裏呀聲気絶方又名を神秘湯とあるが、原方にて王碩易簡方・揚仁齊直指方・東垣医学の発明にも同名の方ありて二三味づつの加減あれば此方が尤も捷効あり。吾門、厚朴を加る者は易簡に一名降気湯の意に本づく也。」