手のしびれ 温経湯

温経湯は使い方の難しい薬だと思っています

 

医療用エキスメーカーの効能効果には

「手足がほてり、唇がかわくものの次の諸症

月経不順・月経困難・こしけ・更年期障害・不眠・神経症・湿疹・足腰の冷え・しもやけ」

とあります

 

わかりますか??

手足がほてるのに足腰は冷えるんですって(^_^;)

この言葉に矛盾はないのでしょうか

患者さんがそう言ってくれたら良いのですがね・・・

 

そこで今回、温経湯で効果のあった症例をご紹介します

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主訴:手のしびれ

 60代女性

 既往・服薬歴:ビタミン剤・湿布薬

 

編み物を仕事としているため手先をよく使う。

しかし、両手がしびれてるため編み物に加えて趣味のピアノもできず困っている。。。

医者からは使いすぎのため休ませるよう指示があった。

ビタミン剤(VB12)や湿布の処方を受けたが効なし。

両手指のしびれ。特に右手第三指の症状が強い。

腫れ・むくみなし。季節変化・荒天時の悪化なし。

手足はあつい。

朝のこわばりが多少ある。母が関節リウマチ。

 

食欲正常 口乾(±)  睡眠良好  二便正常

舌淡紅・苔薄白・歯痕・裂紋あり

婦人科疾患の既往は特にない

 

≪その他≫

首から上があつく急に汗が噴き出してくることがある。盗汗(-)

10月中旬だが毛布2枚で寝られ、朝には1枚になっているが寒くない。

 

病理:血瘀血燥(陰虚)

方剤:温経湯

口乾と陰虚が明確ではなかったことで判断に迷った。

しかし手足のほてりや夜間の暑さは血虚・血燥→陰虚となっていると判断。

陰血の不足があって流れが悪くなった結果、手のしびれが出ていると判断し温経湯の選択に至った。

14日間の服用でだいぶしびれが取れた。新血生成により流れが改善されたからだろう。

 *検査の結果リウマトイド因子は陰性


出典

【金匱要略・婦人雑病】

問曰:婦人年五十所、病下利数十日不止、暮即発熱、少腹裏急、腹満、手掌煩熱、唇口乾燥、何也?

師曰:此病属帯下。何以故?曾経半産、瘀血在少腹不去。何以知之?其証唇口乾燥、故知之。當以温経湯主之。

 

問いて曰く、婦人年五十ばかり、下痢を病み数十日止まず、暮れには即ち発熱し、少腹裏急し、腹満し、手掌煩熱し、唇口乾燥するは何ぞや。

師曰く、この病は帯下に属す。何を以ての故か。かつて半産を経て、瘀血少腹に在って去らざるなり。何を以てこれを知るか。その証は唇口乾燥す。故にこれを知る。温経湯を以てこれを主らしむべし。

参考

【勿誤薬室方函口訣】浅田宗伯

此方は胞門虚寒と云うが目的にて、凡そ婦人の血室虚弱にして月水不調、腰冷腹痛、頭疼下血、種々虚寒の候ある者に用ゆ。年五十云々に拘るべからず。反って方後の主治に據()るべし。又た下血の証に唇口乾燥し、手掌煩熱し、上熱下寒し、腹に塊なき者を適証として用いる。若し癥塊あり快く血下らざる者は桂枝茯苓丸に宜し。其の又た一等重き者を桃核承気湯とするなり。


【椿庭経方弁】寺師睦宗

按ずるに、此の方「瘀血、少腹に在り」と云ふと雖も、必ず抵當、承気の堅塊有るが如きには非ず。

蓋し乾血少腹に凝固して、津液滋養する能はず、故に滋陰潤燥の品を用ふれば、則ち乾なる者は潤し、結する者は解するのみ。

故に方中に多く滋潤の品を用ふ。而して瘀を破るは則ち牡丹皮一味なり。

 

【漢方古方要方解説】奥田謙蔵

医聖方格に云う

婦人、帯下ト称する者ハ、赤白ヲ泄シ、少腹裏急シ、或ハ腹虚満シ、手掌煩熱シ、唇口乾燥シ、其ノ人心下痞シ、嘔逆シ、或ハ、咳唾ニ血ヲ帯ル者ナリ。当ニ温経湯ヲ以テ之ヲ主トスベシ


【漢方主要処方解説】矢数道明

下痢は下血の誤りとする説がある。下血のほうがよく了解される。

帯下は婦人病一般の意味も含まれている。

 

【新古方薬囊】荒木性次

婦人で下腹が吊り、腹が張り、手足がほてって、唇の乾き、或は裂ける者、或は其れで下痢幾日も止まないもの、月経が不順であったり、無かったりする者、或は月経の量が多すぎる者、或は冷え症のために妊娠しない者、冷え症にて頭痛し、月経不順の者に宜し。