↑以前に書きました↑
沢山の方が読んでくださりご連絡をいただきました
活用していただけたなら嬉しいです☆
と・こ・ろ・が
以前と今とでは解釈が違っていたりもするものです(・へ・)
私は当然だと思っています
とっても美味しいフレンチのお店
評判の人気店で予約が必要です
しかしこのお店はいつ行っても同じメニューしかありません
どうですか?
自然と足が遠のいていくと思います
漢方薬もひとつの使い方(解釈)しかないのでは困ります
また同じ理論であってもより深みが増してゆかなければなりません
当帰芍薬散はとっても良い処方だと思っています
この方剤を自在に使いこなした江戸時代の医人・吉益南涯はすばらしい方です
父・東洞が偉大過ぎたたためにその評価は薄れがちですがそんなことはありません
当帰芍薬散についてあらためて書き残しておこうと思います
*数年後にはまた解釈が変わっているかも
当帰芍薬散:当帰・芍薬・川芎・茯苓・朮・沢瀉
いつどの時代にあっても処方の構成はこの6味です
当帰芍薬散は『血』と『水滞』
実は筋肉との関係が深いのです
当帰芍薬散が女性に多用される一方で男性にあまり使われないのは筋肉量の差です
出典【金匱要略/婦人雑病】を開いてみると
「婦人腹中諸疾痛、当帰芍薬散主之」
とありその直後に
「婦人腹中痛、小建中湯主之」
がある
仲景はこの2剤を並べて記載しておりこの意味を読み解く必要があります
当帰芍薬散がゆく腹痛と小建中湯がゆく腹痛の違いは一体何なのか?
Q:水滞があるならどこにあるのか?患者さんはどう訴えるのか?
Q:脾虚なら患者さんが訴える2剤の違いは何なのか?
Q:当帰がある意味は?
Q:桂枝がある意味は?
前回のブログでは婦人妊娠病の条文を挙げて「妊婦の羊水を水滞」と捉える解釈をしたが
羊水は”邪”ととらえるべきなのか?
いろんな疑問が湧いてきます
小建中湯の解釈には傷寒論(桂枝湯)を理解しなければならない
桂枝湯は発表剤の側面があるけれどもちろん単なるカゼ薬ではない
陽…桂枝・生姜
陰…芍薬・大棗
+甘草
の構成をしている
この方剤には桂枝甘草湯および芍薬甘草湯が内包されている
芍薬甘草湯は言わずもがな血虚による筋痙攣の薬であり一般に「こむら返り」に頻用されている
この筋痙攣はふくらはぎに限定されるものではなく下腹部で起こったものでも良い
ふくらはぎ(下腿三頭筋)は大きな筋肉なので起こりやすいだけ
桂枝甘草湯は条文から解釈すると気の異常による動悸に適する
傷寒論には「上衝」と記載されている
この2剤が合わさった桂枝湯は気血陰陽すべてを回復する唯一の方剤といえる
その桂枝湯の芍薬を増量することは芍薬甘草湯の方意を意識してのこと
つまり小建中湯の婦人腹中痛は筋痙攣による痛みであることがわかる
一方、当帰芍薬散は桂枝を含まない
さらに甘草も含まない
仲景はあえてこの2味を入れなかったはず
血が筋を栄養しその働きを維持していることは周知のとおり
同時に水もまた筋に保持されている
筋は血を栄養源として働くが、余分な水があることで血が薄まりその働きを低下させる
水が蓄積した筋は動きが鈍く痛みを生じる
この水が筋より外つまり皮下にあれば「浮腫み」となって生じるわけである
これら水の偏在を除きつつ筋の血を十分な濃度で維持することができる方剤が当帰芍薬散といえる
当帰芍薬散の痛みは筋の栄養不足と水の過剰と偏在である
当帰芍薬散が適する方の多くは運動がニガテ・・・
アスリートは筋が充実している
アスリートは浮腫まない
アスリートに起こりやすいのは筋痙攣
つまり芍薬甘草湯(小建中湯)が合う
そんなこんなで当帰芍薬散は運動不足になりがちな方
筋の発達が弱く浮腫みやすい方の筋の栄養と水のバランスを取るお薬といえます