梅核気だけ!? 半夏厚朴湯

だいぶサボっていたブログの更新(@_@;)

定期的に方剤について書こうと思っています。

前回は瘀血と桂枝茯苓丸でした。今回は半夏厚朴湯にします。

 

半夏厚朴湯:半夏・生姜・茯苓・厚朴・蘇葉

 

【出典:金匱要略・婦人雑病】

「婦人咽中如有炙臠、半夏厚朴湯主之。」

【訳】

「婦人、咽中に炙臠有るがごときは、半夏厚朴湯之を主る。」

 

なんと短い文章でしょうかね。

張仲景の良いところなのか悪いところなのか。。

「ナゼか?」を一切書いてません。

そのため梅核気(ヒステリー球)なら半夏厚朴湯という医療とは言えないような使い方が登場します。

効く”かもしれない”という可能性でしかありません。

半夏厚朴湯で体調が楽になった方の半分くらいは喉元の症状がない場合です。

 

はてさてどんなお薬なのでしょうか・・・

 

【和剤局方】および【易簡方】・・・四七湯

【三因極一病証方論】・・・大七気湯

【医方集解】・・・七気湯

【外科百効】・・・薬磨湯

とその名を変えて登場しているが出典金匱要略の半夏厚朴湯が通名。

浅田宗伯【勿誤薬室方函口訣】によれば

「此方局方七気湯ト名ク気剤ノ権輿ナリ・・・」

と述べられている。気剤の気とは七気(七情)のことのよう。

つまり怒・喜・思・憂・恐・驚・悲です。

では気とは何のことだろうか・・・

 

後藤艮山(1659-1733)は万病は一気の留滞によって生ずるものとして「一気留滞説」をとなえ治法は順気にあるとした。

『気』というと怪しいモノのように感じるが、傷寒論に登場する「気上りて胸を衝く」といった言葉は皆が感じたことのある動悸のことを言っているのであって何ら怪しいモノではない。

金匱要略から時は下り【千金要方・宋・孫思邈】にはすでに「胸満して心下堅く、咽中帖々として炙肉あるが如く、之を吐けども出ず、之を呑めども下らざるを治す。」とあり梅核気の症状そのものを論じていてわかりやすい。

 

 

さて、梅核気とは別に半夏厚朴湯が合う方によく診られる症状がある。

それが胃内停水。訴えは「胃がポチャポチャと音がする」というもの。

本人は当たり前に感じており聞かなければ訴えないかもしれません。

茯苓というのは不思議な薬物で必ず利尿させるわけではないのに水分を取り除く。

利尿して水が抜けるのであれば西洋の利尿剤のほうが効くはず。

半夏・生姜・茯苓(小半夏加茯苓湯)は胃内停水による嘔気に良く効く。

半夏厚朴湯=小半夏加茯苓湯+蘇葉・厚朴

 

これは苓桂朮甘湯、苓桂甘棗湯、茯苓沢瀉湯に近い。

*これら3方剤は桂枝甘草湯を内包しているため動悸を訴えることが多いがこれらに比べ半夏厚朴湯では動悸の頻度は低くなります

いったいカラダのどこで何がどうなっているのか?

 

病位は『胃』で『水↔津液が過剰』になって主に『上部消化管で動き回っている』

と私は解釈しています。

 

水は全身あらゆるところを巡ります。

臓腑・皮下・筋肉・目・鼻・指先・・・

そして主に滋潤の働きをしています。

 

そのため水代謝が低下して溜まってしまった場合全身あらゆるところに症状が現われます。

私は半夏厚朴湯が合う方の病位は胃だと思っています。

皮下・肌肉・筋肉等のお水には異常がない。

そのお水があるために気の不安定な動きが生じて梅核気の様な症状を現わしているのだと考えます。

 

『気』にばかり目が行きがちですが根本は『水』です。