張景岳と熟地黄

出典:中医伝統流派の系譜 黄煌著 柴崎瑛子訳 東洋学術出版社

 

形体に精を充填させることを重視した張景岳

 

 彼が内傷雑病を治療するときには、形体の治療、精血の充填を重視した。そして形体は生命の基本であると考え「私が頼りにするのは形だけである(景岳全書伝忠録)と述べている。」

 そもそも疾病とは、形体の損傷を前提としている。形体の損傷には、たとえば情志が腑の形を損傷したり、労働が筋骨の形を損傷したりという状況が考えられる。そして体内の形が損傷されれば、神気が消耗し、外表部の形が損傷されれば、四肢と躯幹に障害が現れ、ついには肌肉が落ちてしまう。

 では形体とはどのように構成されているのであろうか。張景岳は、形体は精血が充満することによって成り立つと考え、「精血とは形であり、形とは精血である。」と述べている。・・・

 張景岳が精血を重点するのに最もよく用いたのが、人参と熟地黄である。彼が創作した八種類の新方には、この二つの薬味が最も頻繁に現われる。人参は元気を補い、熟地黄は元精を補い、また人参は気と陽に作用し、熟地黄は形と陰に作用する。そしてこの二つの薬味を合わせれば、相乗効果を得ることができる。・・・

 中でも張景岳が最も重視したのは、熟地黄であった。そして熟地黄の重要性について、こう強調している。「真陰が欠損すれば、発熱・頭痛・口渇・喉痺・痰を伴う咳嗽・気喘・脾腎寒逆による嘔吐・虚火による口や鼻からの出血・むくみ・陰虚いよる下痢・陽が浮越することによる狂躁・子宮下垂、などの症状が現われる。陰虚によって神気が散逸した場合には、熟地黄の守備力でなければ神気を集めることはできない。陰虚で火が上昇したときには、重い熟地黄でなければ火を降下させることはできない。陰虚で躁状態のときには、熟地黄の鎮静作用でなければ鎮めることはできない。陰虚で硬直したときには、熟地黄の甘味でなければ緩めることができない。陰虚で水邪が氾濫したときには、熟地黄以外に制御できるものはない。陰虚で真気が散逸したときには、熟地黄以外に真気をもとに戻すことはできない。陰虚で精血ともに欠損し、痩せ衰えたときには熟地黄以外に胃腸を回復させることはできない。」このように熟地黄をあらゆる面において信頼していたことがわかる。・・・

「陰を補うことによって陽を補えば、陽は陰の助けを借りることができるので、生化が止むことはない。陽を補うことによって陰を補えば、陰は陽によって昇提されるので、陰の源泉が涸れることはない。」

精とは父母から受け継がれた絶対的なもの、日々の飲食物から得られる後天的なもの

この2つしかないと思っています。

もし薬で補えるならば(しかも景岳は熟地黄が唯一であると言っている)メシはいらんということではないか。。

 

実際、景岳が創製した新方八陣(右帰飲・左帰飲・右帰丸・左帰丸など)は使いませんし 

わたし小岩井は張景岳を信用しないことにしました(笑)