七物降下湯という妙薬

画像の植物は四物湯の構成生薬となります

トウキ・シャクヤク・センキュウ・ジオウ

七物降下湯という妙薬

「高血圧に効く漢方薬はありますか?」
これは即答できない質問です。なぜなら機械による測定値の概念が漢方の理論にはないからです。そのため同じ処方を用いて下がる場合もあれば下がらない場合もあります。

今回は七物降下湯を服用した翌日から血圧が10-15mmHg下がった事例をご紹介します。

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40代女性 162cm 97kg 初来局2017年8月9日
【主訴:むくみを伴う手指の痺れ】

6年前血圧が200を超え降圧剤の服薬を開始。血圧は下がった。しかし3年前から手のしびれを感じるようになった。この痺れは降圧剤の服用を休止すると消失する。Drにそのことを伝えるも薬が原因ではなく肥満が原因とし処方は変えずそのまま継続する事になった。
今年2月に起きがけに目の前がぐるぐる回る程のめまいを発症。吐き気も伴い救急車で搬送された。しかし検査の結果異常はないため高血圧が原因とされた。手の痺れとむくみが酷くなり物を掴むことや力を入れることが困難な程。症状は起床時からあり日内変動なし。*正座をした後の足の痺れがずっと続いている感覚。
眼圧が高く以前は砂利の様な目ヤニが出た。降圧剤を始めてから出なくなった。降圧剤を服用していると尿量増&回数増。
食欲旺盛 多飲・温飲
睡眠良好 寝入りにいびき
舌淡白 苔黄厚 脈渋

月経
28日周期。今年に入り経量減少。3日ほどで終わる月がある。血塊(++)

BP:140-150/100-110(降圧剤服薬して)

↓↓

肥満による高血圧が根本的は要因であることとダイエットはご自身で行うよう伝えた上で七物降下湯(煎薬)を14日分お出しする。
翌日から明らかな血圧降下がみられた。初めの3日間強烈な眠気に襲われる。服薬後3時間ほど眠くて仕方なかった。4日目より消失。
7日間で第4,5手指の痺れが消失。14日間で第1,2手指の痺れが消失。第3手指の痺れがまだ残るものの、むくみが明らかに減ったため握ることができる。また感覚的にカラダが軽くなった。

七物降下湯は北里東洋医学研究所初代所長である故大塚敬節氏が自身の高血圧を治療する目的で創られたものである。当然すべての高血圧症に効果があるわけではなく、私は”血虚”を目標としています。大塚氏は「四物湯を用いたのは止血の意味であり・・・」と言っており眼底出血を止める目的だった。四物湯の適応となる出血は血が不足するもの。芎帰膠艾湯の不正性器出血然り、猪苓湯合四物湯の膀胱炎に伴う血尿然り。
事例の方は今年に入り月経量が減少したこと・手に痺れが出たこと・舌淡白・口唇色白という血虚を疑う所見がありそれを根拠に用いたわけであります。

≪参考≫症候による漢方治療の実際