胸の辺りのざわつきと気持ちの悪さ

漢方は”不定愁訴”と呼ばれる「なんとなく体調が悪いけれど検査をしても原因がみつからない」といったものを得意としています。機械がない時代からの医術ですからね。

漢方は自覚的な所見を重要視し、悪化・緩解要因などからその原因を突き止めるため検査数値に出ようが出まいが関係ありません。*指標としては利用しますが判断の根拠とはなりません

今回はそんなご相談を紹介します…


主訴【胸の辺りのざわつきと気持ちの悪さ】

20代女性・160cm/53kg

 

半年前から症状がはじまった。その頃恩師が亡くなりそれが発症と関係しているように感じている。

心療内科を受診して抗不安薬を処方されたが、頭のふわふわ感・日中の眠気に耐え切れず中止。半夏厚朴湯に変えて多少良かったがこの1週間症状が強くなって不安になった。

動悸ではないが胸~みぞおち辺りにざわつきがあり、気持ち悪さもある。痛みなし。その部分に熱っぽさを感じる。顏ののぼせはない。イライラはなく、睡眠はとれるが時間は短い。日により症状には波があ。1日のうちで症状が出やすい時間帯などはない。日中頭がぼーっとすることがあるがそれは以前からあった。

食欲が落ちたと感じるが体重減少はない。

二便正常。脈沈やや弦。舌淡紅・苔薄白・歯痕(+)

 

月経30日周期・5-7日間

月によりまちまちで重い月辛い。市販の鎮痛剤を使用。

月経前後で症状の変化はない。この半年くらいは子宮のあたりが重く感じる。


・症状に勢いがなく”不安感”が先行していること

・食欲が落ちていること

・舌と脈に熱状が表れていないこと

以上より『虚』と判断した。

そして部位がみぞおち辺りでありざわざわという不安感のような症状を訴えていることから『心虚』と判断した。

心脾両虚:帰脾湯

さらに部位に熱っぽさを訴えているため

心脾両虚→化熱:加味帰脾湯

としました。


2週間後にいらした際

「飲み始めて2-3日目から調子が良くなって、ざわつきがなくなった。」とのこと。

睡眠は変わらず日中の嗜眠も変化なし。こちらは主訴とは別の原因であることがわかります。