めまい 苓桂味甘湯が効いた事例

めまいにつかう処方を挙げてください

苓桂朮甘湯

半夏白朮天麻湯

五苓散

黄連解毒湯

 

上記4処方は医療用で保険適応が通っているものです

その他に

 

半夏厚朴湯

柴胡加竜骨牡蛎湯

当帰芍薬散

加味逍遙散

桂枝茯苓丸(加薏苡仁)

桂枝加竜骨牡蠣湯

真武湯

補中益気湯

七物降下湯

釣藤散

抑肝散(加陳皮半夏)

温清飲

桃核承気湯

女神散

通導散

三黄瀉心湯

大承気湯

などはめまいに使われる漢方薬です

結局はどれが合うかはその方と会ってみないとわからないです

さて、今回は苓桂味甘湯(りょうけいみかんとう)でめまいが改善した事例をご紹介します


50代女性

身長155cm 体重47kg

主訴:めまいとそれに伴う不安感

既往歴:パニック障害、子宮筋腫

*婦人科でホルモン値を測定したところ減ってはいるがHRTを行うほどではない

*月経ひと月に1回きている

 

不安感が強く若いころから心療内科にかかっている。

心療内科の先生とはお話をするだけで抗うつ薬・抗不安薬の処方は受けていない。生活環境を整えてコントロールできている。睡眠良好。パニック発作は何年も起こしていない。

 

めまいは何年も前から発症している。きっかけは真夏に室内でヨガをやって汗をかいた後、高温多湿の屋外へ出た途端に発症した。最近ではほぼ毎日起きる。時間は決まっておらず、症状は短時間で消えるが日に何度か起こる。ぐるぐると回るような感覚ではないけれど、グラッときたりフワフワしてまっすぐ歩けない感覚。月経との関連はなく毎日。熱が頭部(面部)にのぼる感覚がある。横には絶対になれなず、座っているとそのうち落ち着く。荒天時の悪化あり。吐き気なし。めまいがあるから不安になる。時に動悸を伴う。

便秘症でタケダ漢方便秘薬を使う。トイレで排便すると気が落ちる感覚がある。虚脱感?そのため排便前は不安がある。

 

食事は年齢相応にとっており3食摂る。

舌紅・苔薄白。歯根ナシ。脈沈やや弦。手足冷。

 

2週間服用中めまいがなく不安な気持ちも出ずに済んだ。前向きに過ごせている。


【金匱要略/痰飲咳嗽病】

青龍湯下已、多唾口燥、寸脈沈、尺脈微、手足厥逆、気従小腹上衝胸咽、手足痹、其面翕熱如醉状、因復下流陰股、小便難、時復冒者、與茯苓桂枝五味甘草湯、治其気衝。

 

この条文はひとつ前の小青竜湯から始まり→苓桂味甘湯→苓甘五味姜辛湯→苓甘姜味辛夏湯→苓甘姜味辛夏仁湯→苓甘姜味辛夏仁黄湯とつながる一連のものです。

小青竜湯と苓甘姜味辛夏仁湯が表裏の処方と云われるゆえんはここにあります。

さて今回の苓桂味甘湯は痰飲咳嗽病に記載がありますが、小青竜湯・苓甘姜味辛夏仁湯が適応となるような喘息などの「痰・咳」とはやや趣が異なります。同じ痰飲咳嗽病に登場する苓桂朮甘湯(心下有痰飲、胸脇支満、目眩、苓桂朮甘湯主之。)がより近しいようです。苓桂味甘湯の条文を見ても喘咳についての記載はありません。

 

この条文のポイントは3つ

①気小腹より上り胸咽を衝く

②其の面翕熱(キュウネツ:盛んな熱)して醉える状のごとし

③時に復た冒(めまい)する

 

上衝というのは漢方独特の表現で「上りて衝(つ)く」語訳します。下から突き上げる感覚です。

それに適するものが桂枝甘草湯です。

【傷寒論64条】

「発汗過多、其人叉手自冒心、心下悸、欲得按者、桂枝甘草湯主之。」

これは陽気の不足によって生じ、仮性の興奮(熱感・のぼせ・めまい・動悸など)を発しています。

そして桂枝甘草湯に茯苓と五味子が加わった苓桂味甘湯が適応となる者は、その熱状がお酒に酔ったようでめまいを発すると言っています。

咳に適応の通った処方もありますがここでの五味子の働きは”寧心安神”つまり上衝により生じる不安感や動悸を治めるものだと考えます。