数日前から東京もスギ花粉の脅威にさらされるようになりました。
花粉症のご相談が急増しています。
「花粉症に効く漢方薬といえば小青竜湯」
こんな認識があると思います。
確かに小青竜湯が効く人は沢山います。西洋薬のようにみんなに同じお薬を飲んでもらうなら確率的に一番高いでしょう。しかしそこは漢方ですかそんなことはしてはいけません。
ところでわたくし最近Twitterをはじめまして世間ではどんなことが書かれているのかなぁと眺めています。
必死で「麻黄はダメ!麻黄はダメ!」と訴えている方が散見されます。
短文ですから言いたいことは全部伝えることは出来ないのでその先生が言いたいことは麻黄が含まれる小青竜湯・葛根湯・葛根湯加川芎辛夷などが安易に使われている現状に苦心しておられるのでしょう。実際先生も麻黄剤は使われているようですから。
今回は粉症になぜ麻黄が必要なのかです。
花粉症に使われる処方の一例をあげます
小青竜湯:半夏・麻黄・芍薬・桂枝・細辛・乾姜・甘草・五味子
葛根湯加川芎辛夷:葛根・麻黄・大棗・桂枝・芍薬・生姜・川芎・辛夷・甘草
桂麻各半湯:桂皮・杏仁・甘草・芍薬・大棗・麻黄・生姜
越婢加朮湯:麻黄・生姜・大棗・朮・甘草・石膏
ご覧の通り全てに麻黄が含まれています。そしてさらにいうと甘草も含まれています。つまり甘草麻黄湯が内包されているのです。ここで金匱要略の水気病を開いてい見ると
【金匱要略・水気病】
「裏水、越婢加朮湯主之;甘草麻黄湯主之。」
と書かれています。つまり甘草麻黄湯はお水をコントロールする力があることがわかります。
花粉症の病態はこの”裏水”によってビチャビチャになっていますから麻黄を使うと抜けが良くなるのです。
患者さんが楽に過ごせますから私も麻黄は使えるなら使いたいです。花粉が飛んでいようが気にせず外出できます。もちろん漫然と連用するのはNGです。花粉症の時期だけ使う分には問題ありません。使えない人を除いては甘草麻黄湯を使って花粉症シーズンを楽に過ごしていただいています。