昨年から帯状疱疹の患者が増え
年末辺りから天然痘の噂、そして今月はサル痘の話題が出ています
*すべてウィルス感染性の発疹
*天然痘の世界的流行は1970年代ワクチン接種により終息している
漢方とは過去の経験と知恵をもとに
それと似た症状に対して薬を用いる治療術です
さて、ウィルス感染症にて発熱に伴う湿疹が生じたものに対して先哲は
『升麻葛根湯:しょうまかっこんとう』
という漢方薬を創生しました
升麻 葛根 芍薬 甘草 生姜
≪閻氏小児方論(小児薬証直訣・付録)≫
「治傷寒、温疫、風熱壮熱、頭痛肢体痛、瘡疹已発未発、并宜服之」
≪太平恵民和剤局方≫
「治大人小児、と時氣、瘟疫、頭痛発熱、肢体煩疼、及瘡疹、已発及未発、疑貮之間、並宜服之」
≪方読弁解/福井楓亭(1725-1792)≫
「主治ニ挙ガ如シ。痘疹序熱、或傷寒、時疫等ノ表症ニ用ユ。
≪漢方処方解説/矢数道明≫
「麻疹、痘瘡、猩紅熱などのように、発疹をともなう熱性病の初期、または流感の頭痛甚だしく脳症状のあるものに用いる。目痛み・鼻乾き・衄血し・不眠などがある。流行性感冒・麻疹・猩紅熱・水痘・衄血・眼充血・皮膚病・扁桃腺炎などにも応用される。」
新型コロナウィルスの流行で嫌というほどわかったように
西洋治療はどうしても薬の開発に時間がかかってしまう
漢方は過去を振り返りそれに沿った手段を選択すれば未知のウィルス感染症であっても治療が可能となります
もし万が一
天然痘やサル痘が蔓延することがあれば
発症初期の発熱・発疹に升麻葛根湯を用いることは一つの有効な手段となるでしょう